昨年末にYoutubeのリコメンドでボズ・スキャッグスの名曲「Jojo」が出てきて、そういえばちゃんとアルバム聞いてなかったなあと思い、Amazonで5枚組ボックスをGET。(最近よくある廉価版のやつです)
それでまず、これまたAORの名盤「MIDDLE MAN」から聞いてみたんだけどね。……これがもう、あまりに素晴らしくて(逆に)打ちのめされました。1曲目が「Jojo」なんだけど、アレンジも演奏もミックスも飛び抜けてハイクオリティ、もちろんメロ&ボーカルも極上だし、非の打ちどころがない。なんだこのカッコ良さ。久々に聞いたけど、今の耳で聞くともうとてつもない。
歌詞をネットで調べてみると、どうやらベトナム帰還兵らしき危ないヤツのことを歌った歌。ブロードウェイは浮かれているが、奴はどう思っていると思う?お前らそんなんで本当にいいのか?みたいな、硬派で社会派の内容。アイラブユーとか、一切出てきません。
こんな詩だったとは、当時は全然知らずに、とにかくサウンドがカッコイイ曲だと思って聞いてましたが。
当時――驚くなかれ1980年ですよ。80年代をつい昨日のことのように思ってるオレと同年代の皆さん、目を覚まして下さい(w)。今から38年前ですんで。(自分はティーンエイジャー、歳を取るはずだよ)。
で、まあそれがまた衝撃で。果たしてこのカッコ良さを今のPOPSは超えられているんだろうかと。無理だと思う……。全然古びてないし、サウンドからして今リリースされても全くおかしくない。うへぇ。どうなってんだ、魔法かこれ。
あ、一応解説しておくと、ボズは当時のAORムーブメントの中心人物の一人です。バックには結成前のTOTOのメンバーも参加。この曲にはあのデイヴィッド・フォスターも共同作曲者に名を連ねてますので、TOTOのデイヴィッド・ペイチと共に制作にも携わっているんでしょう。もう化け物みたいなセンスです、スタジオ録音芸術と呼んでも過言ではない。
(今英語版のWikipediaみたら、カルロス・サンタナも参加してるじゃないか……。ぐへぇマイッタ)
このアルバム、ジャケットも超キャッチーで。もしやジャケだけは知っている人がいるかも。タキシード姿のイカしたオジサン(ボズ)が目を瞑って煙草をふかしているんだけど、膝枕にしているのが網タイツの女性の太ももなんですね。(女性だと思う…線の細い少年だったらどうしようね?w)興味のある人はググって下さい。
久々にこれ見て、音も聞いて浮かんだキーワードが「不良中年」。だってそうとしかいいよがないでしょう。
案外、「不良中年のための音楽」というのは、AORを形容する適切なフレーズかもしれない。ドナルド・フェイゲンなんかも不良中年っぽいしなあ。
(もう一派あって、そっちはアダルトチルドレン・コースかな? クリストファー・クロスとかJDサウザーとか。歌声が中性的でほぼボーイソプラノですからね)
こうしてみると、音もそうだけどジャケもバブルっぽい。当時のアメリカはバブル日本に経済侵略されて大変だったんだけど、それでも景気は今より遥かに良くてこういう雰囲気もあったんでしょう。世界同時進行の時代の空気を、まさに当時の名盤が映してる。
アレンジといいミックスといい、勉強になることといったら、もう。音楽制作ソフトでよく70年代の機材を再現した製品があるんだけど、こりゃ当然だわな。こんなにいい音、誰でも手に入れたくなる。この時代のアメリカは冴えまくりです。
さて、それでですね。このアルバムの3曲目「Simone」に差し掛かった時に、リアルに「あっ」と声を上げました。「アッー」ではありませんよ、ええ。
この聞き覚えのある音。信じられん。
それは。
アコーディオン!(ドドーン、波ザバーッ)
おいおい、AORの名盤、というかもうアメリカンPOPSの代表作のひとつとさえいえるこの歴史的アルバムに、かよ?
しかも、もう大フィーチャーといっていいアレンジ。
しばし茫然。
ほら、やっぱり。トレンディなハイセンスピーポーにはちゃんとわかってるんだよ。死語だらけだけどこれ1980年だから(w)。
いやー驚いた。そしてもうニンマリですよ。世間はわかってくれないだけで、やっぱわかっている人はわかってんだねえ、と。(ふふふ)
こんな化け物みたいなセンスのクリエイター達がひしめくアルバムで、この存在感。欧米ではかなり身近な楽器だそうですが、これはオシャレ楽器のお墨付きを貰ったようなもの。なんせAORの名盤ですから。
またオレ得オレ情報を書くと、これ気付いたの実は元旦なんですよ。ね、すごいでしょ?(笑) なんちゅう縁起のいい年や。
いやー、AOR。まだまだ研究&勉強が必要ですわ。
まあ、実はちょっと大それたことを考えていて、もし自分がAORに何か付け加えられるとしたら、それはアコーディオンかな、と漠然と。ところが既に38年前ド名盤の中でやられていた。
ただ、まだ2つばかりテはありますよ。この場合、38年という時間はこちらの味方。音楽史的には様々なことがあったわけだから。
それは、今後書いていく曲の中で試していきたい、と思っとります。