ドキュメンタリー映画『太陽の塔』(2018年)を観た。言わずとしれた岡本太郎が1970年の大阪万博で作った巨大なモニュメントのことですね。建設の苦労話や背景が前半で、中盤以降や太陽の塔や岡本太郎について、宗教学者や民族学者を中心に思想性や解釈をコメントする形式。例によってコメントはぶつぎりで、結構ざくざく編集してある(こういうの流行か?)。前半は当時の記録フィルムがふんだんに使われ、懐かしかったです。
岡本太郎は修行時代のパリから帰って、国立博物館で縄文土器を「発見」し、その芸術性に驚いて論文を書き、縄文土器が美術作品として評価されるきっかけを作ったのですね。
実はそれだけでなく、太郎は自分の芸術のルーツを縄文に求めて、その後沖縄や東北を広くフィールドワークしたそう。それは、縄文文化(狩猟)を持った人々が、歴史的に弥生文化(稲作)に押されて「辺境」に追いやられたから。本州に残った縄文文化圏は、後に被差別側にされますが、沖縄・東北ではそうではなかった。
映画で東北の「鹿踊り」の様子が流れましたが、速い調子の太鼓に合わせて非常に勇壮な踊りが展開されるものでした(もちろん太郎はこれも取材)。
宮澤賢治にも『鹿踊りのはじまり』という作品がありますが、たぶん着想の元になったものでしょうか。なんと太郎と賢治がここで繋がってしまった。
そしてもう一点、傍と気付いたが、70年万博は冨田勲先生が東芝IHI館の音楽を担当しているので、ちょっと牽強付会だが冨田先生と賢治と太郎が繋がってしまったともいえます。
(もともと冨田作品には賢治から題材をとったものが幾つかある。最後の作品となったのは『イーハトーヴォ交響曲』だし) まさかこの三人が70年万博で繋がっていたとは、大変な発見をしたなあ……と感慨に耽っている次第です。
以下個人的な話。
70年万博、実のところ自分は幼いころ両親に連れられて行っています。
さすがに僅かな記憶しかありませんが、印象としては本当に未来都市のイメージで、日が落ちてからの夜景がまたすごかった。映画以上の光景です。
太陽の塔は、遠くから見れば形がわかるが、近づくと途方もなく巨大で怪物のイメージ。塔の内部に入って、確かあの天井の未来都市も歩きましたよ。
東芝館も行ってるように思う。果たしてそこで冨田先生の音楽を聞いているのか否か。さすがにほぼ記憶はないが、また書きます。
2024/10/07
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