2024/09/05

YMOとロスト・テクノロジー

  カセット周りの技術が失われつつあると少し前書いたが、そういえばWikipediaのYMOの項目を読んでいたら怖ろしい話が書いてあった。


 YMOの活動時期はちょうど初期のデジタルレコーディングシステムが出てきたあたりと重なっており、後期の何枚かは当時最新鋭のデジタルレコーダーで録られているらしい。ただ、まだ記録媒体はテープで、見た目はほぼアナログのオープンリールレコーダー。
 ところがこれが難物で、当時から非常に不安定(下手をすると全部データがトンじゃう)という話は報道されていました。それだけならまだしも、記録・再生方式が特殊すぎて、今はもう再生できるハードがないらしい。(あっても博物館級の貴重品で、利用には莫大な費用が必要とか)
 それで、仕方なくマスターテープが破棄されてしまったYMOのアルバムがあるそうだ。……どうですか、噴飯ものでしょ? 貴重な音楽文化遺産ともいえる作品のマスターが、まさかないなんて。
 だからCD用に落としたデータからコピー作るしかなくなっていると思うんですが、ミックス修正とかも無理だし、リマスターも音質は低下しますからね。

 これなんか、非常に悲惨なロスト・テクノロジーの影響例ですね。当時はノイズもない夢のレコーダーのように言われたが、技術進化の袋小路に入り込んでしまった仇花だった。その後、デジタル録音はHDDにできるようになって、パソコンにダウンサイジングされ、ProToolsなんかも出てくるわけです。
 皮肉なことに、アナログのオープンリールレコーダーは今も世界中に愛用者がたくさんいて、細々とではあるがテープも作られているし、昔のプロ用機器もメンテされて使い続けられています。(この辺りは皆様ご存知の通り)

(たぶん、ギリギリで救い出された初期デジタル音源も、きっとたくさんあると思いますが……)

 なんでも新しいものが良いとは限らないし、使われなくなったら一気に技術が失われる……という話でした。(蛇足ながら、アポロの月着陸もその例。最先端すぎて中止で一挙に技術消失。だから陰謀論も出てくる)

9/20 配信開始「ふわり」/ まいみぃ

ノイズに埋もれゆく君の手触り、きっと取り戻すから――。シンセポップ・ロマンス   ふわり / まいみぃ  作詞:弦央昭良  作曲:弦央昭良  編曲:弦央昭良 Release Date:2024/09/20 JASRAC作品コード:305-9357-3 #AOR #...