これは以前も書いたが、弊社制作曲はマスタリング後にCDに焼いて、フルサイズのステレオコンポで音質を確認しています。すると、往々にして音に違和感を感じるトラック(パート)があるんですね。
大抵サンプリング音源のパートで、まあギターなりピアノなりストリングス……ってあたり。やっぱり生演奏を直接録ったパートではないから、どうしても取って付けたような音になる。自分のような制作側の人間なら、ここはサンプリング音源だな……と音質だけでわかってしまう。
(もちろん元々はサンプル音源も生楽器ですが、膨大な調整作業済なので、単純なレコとは別のもの)
有体にいえば、音質がバラバラだから、収まりが悪い、格好悪い。
といっても、実は他の環境ではほぼわからない音質の差なんですね。GENELECのモニターでも、Audio Technicaのヘッドフォンでも、気になりません。サブスクをスマホのイヤホンで聞く……というリスニング環境では、絶対に問題にならない差だったりします。
従来はそれでも苦労して音質を合わせてましたが、ふと、これがDAW時代のスタンダードな音なのでは……という悪魔の囁きが聞こえました。ねえ?どうですかこれ。
うちのコンポのような、30cmウーファーの3ウェイスピーカーなんて、国内メーカーは生産してない時代になりました。(ヤマハは受注生産だったかな?) 昔はどのメーカーもイヤっていうほど作ってたのに、メーカー自体が消えています(w)。このサウンド環境で音質追い込むのはもしかしたらオーバースペックなのでは、という「気の迷い」が生じたのです。
大型コンソールとラージモニターでミキシングしているスタジオならともかく、弊社のようなDAWで全てまかなっているところは、どこもここまでやってないだろうな、と……。
ただし、この環境で追い込むと、実際CDでもmp3でも非常にバランスよく高音質になります。これはスピーカーでもヘッドフォンでも同じ。なのでリファレンスとして考えるのは正しいんですけどね。
結局、自分としては音質を詰めずにリリースするのは気持ち悪いし、レーベルの信頼性にも関わるから、今後も続けるのは変わりませんが。その分時間が掛かることは事実なので、ちょっと悩ましい問題だったりします。
(といいつつ、慣れとは怖ろしいもので、今はせいぜい3回くらいCDに焼くだけでマスター完成しますが……。最初は平均10回だった)
(これは音質の問題であって、音圧はまた別の話。音圧上げすぎると非常に醜い音になるよ、コンポだとそういうの全部見えちゃうから)
ご依頼を受けた曲は、もちろん全部この工程を行っていますよ、ご安心下さい。
まあ、今使っているアンプがソニーのやつだから、このメーカーはコンシューマー向け製品でも、昔からクソ真面目に音源のアラまでそのまま再生する(w)。四角四面のモニタリング音質系だから、余計にね。