初期ユーミン(「荒井由美」時代)のアルバム作品を集めたCD-BOXを聞いたんだけど、音楽制作をやっている人間として非常に収穫がありました。
(「Yumi Arai 1972-1976」)
デビュー作は、「ひこうき雲」が入っているものの、さすがにまだ少し色々と未整理でした。ミックスもあまり良くなかった印象。最初ユーミンさんはアレンジもやってたらしいですね。もう松任谷正隆さんや細野晴臣さんを始めキャラメル・ママがバックに入ってますが。
それが2枚目から、いきなりアレンジもミックスも超A級になってしまうんですね。ユーミンさんのボーカルも素晴らしい。もう楽曲から風格さえ漂うようなクオリティ。以前も書いたけど、まぶゆいような才能の輝き。かなりメンバー間で時間を掛けて作戦を練ったんじゃないでしょうか。初期ユーミンが文学的と言われる理由もわかった。ちょっとクラシカルなアレンジがあったり、売れ線は全然狙ってない。これ今聞いて喜ぶのは音楽マニアだけだと思うけど(汗)、当時これがちゃんと受け入れられて売れたのは、若いリスナーの耳も良かったんだなあ、と。
3枚目も同じ路線、更にクオリティに磨きが掛かった印象。キャラメルママ(ティン・パン・アレー)とユーミンさんのコラボが更に深化・進化したってことでしょう。「卒業写真」が入ってるけど、今聞くと非常にジャズっぽい。これちゃんと売れたのか、なんだか凄いよ。本当にリスナーがレベル高かった。
4枚目、文学的なところから売れ線への移行期ともいえる。「中央フリーウェイ」入ってます。これ76年なんだからほんとため息が出る。完全にシティポップですからね。改めて凄いセンスだなあ……。これだけ音楽的にハイレベルなことをやって、ちゃんとリスナーがわかって売れてしまうんだから。音楽状況は非常に良かったんだと、しつこいけど。
アレンジとかプロデュースという面でも、自分なんかにはもう宝の山でした。
これは皆聞いておいたほうがいいと思う。