先日ようやく映画「パシフィック・リム」を観て、評判通り日本アニメ・漫画・特撮へのリスペクト満載で、非常に面白かったのですね。(出てくる怪獣も劇中でKAIJUと呼ばれる) 異世界から送り込まれてくる怪獣を世界が協力して巨大ロボットで駆逐するという話。ただ年々怪獣が強くなり、世界も疲弊して負け戦になっていく。というのが大まかな背景ですが、印象的なシーンがあった。
(以下ネタバレ)
背水の陣の組織に呼び戻された、かつてのエースだった主人公ベケット。ヘリから降り立った(しょぼくれた?)彼を見て、長官と一緒に出迎えたヒロイン「森マコ」が、日本語で思わず長官に呟いてしまう。
「イメージと違う…」(I imagined him differently)
そしたら主人公がマコを見て、「ヘイ、“違う”って?」(Better or Worse?)と日本語でやり返すんですね。日本語ペラペラだった。
すると森マコはドギマギして、「失礼しました、あなたの話をよく聞いていたものですから」とかなんとか、あんまりフォローになってない言い訳をするわけです。二人の間に漂う気まずさと恥ずかしさ。
どうですかこれ? まさか相手が日本語堪能とは思わなかったからだけど、この感じ、ちょっとハリウッド映画にない出会いでしょ?
あと基地内の居住区で部屋割りがお向かい同士で、なんとなく意識しあっている二人が部屋の前で別れてドアを閉める。そのあともベケットがマコの部屋を名残り惜しそうに見ていたり、それをドアごしにのぞき穴でマコが見ているとか。
モロに昔の日本のラブコメの設定や機敏を持ってきてるわけです。
この世界の巨大ロボは必ず二人で操縦する設定で、主人公と森マコは組むわけですが、操縦中は精神感応で互いの心が丸裸になってしまう。それでつらい過去や心の傷もわかってしまうのですが、マコは怪獣に家族全員を殺されていた。
二人のコンビはなかなか強力だったが、凄まじく強い鳥型怪獣が現れ、ロボットごと大気圏外まで持ち上げられてしまう。すべての武器を使いつくし、ベケットの心が折れた、その時。
隣りの森マコが「まだよ」と、新兵器・チェーンソード(折りたたみ式)を起動!正に70年代ロボットアニメによく出てきたアレで、彼女が日本語で言うんですね。
「これは私の家族のために」(For my family!)
次の瞬間、ソードで怪獣を一刀両断!やはり巨大ロボはこうでなくちゃ、見事勝利。
いやー、日本語がこんなに格好いいとは思わなかった。ここまで日本アニメと特撮、そして日本語をフィーチャーしてくるとは、なかなかわかってらっしゃる監督だ(ギレルモ・デル・トロ)。
ということで未見のかたは是非。