先日聞いたアーティストさんのデビューアルバム。
なかなかの衝撃でした、これが現代日本に現れたというのが。ここには「会えないキミ」も「見つからない僕」も「家族に感謝」もありません。オブラートにくるんで小奇麗な包装紙に入れられた感情ではなく、もっと直截的な生々しい感情を突きつけられている感じ。情念、のような日本的な表現でもなく、本当に圧倒的な生の感情。
これは、自分のようなおじさん世代からしてもかなり「古い」音楽の部類に入ると思う、たぶん戦前のSP盤時代への回帰。2ビート(2拍子)が印象的だし、アレンジももう独特ですね、デュオで完結したりね。その場合、当然何のごまかしも効かないので、アーティストの生の技量がずばり曲に出ます、それで圧倒されるばかりでした。
年若いのにこの演奏力はとてもとても、もう突然変異。特にバンマス様は世界レベルのプレイヤーだ、明らかに。自分はインストをずいぶん聞いてきたのでわかります。作曲能力まで含めて、まあ10年に一人の才能でしょう。
例によってアーティスト名書いてないぞ~(笑)、こんな時代だから、なんでも共有すると思ったら大間違い。もしかしたら隠しておきたいほどのアーティストなのかもしれませんよ?
実は、このグループがもうひとつモチーフにしているものがあるんだけど、かなり明白なので、それを書くと知っている人はわかってしまうから、やめておこう(笑)。
こういうグループが売れて欲しいなあ、と思ってしまうけど、心配しなくても売れてるんですね、もう。現代日本も本当に捨てたもんじゃないなあ、と。面白い音楽を本気でやれば、ちゃんとそれをわかってくれる人がたくさんいるのです。
なんだか、こちらの気分も明るくなってきた。
あまりにもオリジナリティが高いので、翻って自分の音楽的ルーツについても考えさせられました。
近頃珍しい、音楽そのもので勝負しているグループ、無責任に全力応援。「こうしたら売れるだろう」という考えで作られた音楽からは対極の世界です。
ただひとつ、小姑みたいに重箱の隅をつっついておくと(w)、このCD、ボーカルやバックバンドがわっと鳴っている箇所で、どうも音がわずかに歪んでいるようだ(少なくともうちの環境ではそう聞こえる)。たぶん録りの時じゃなく、マスタリングじゃないかと思うが、はっきりしない。歪みといっても音楽的な、不愉快じゃない歪みなので、もしかしたらアーティストさんの意図かもしれないけど。そうかなあ、かなり立派なスタジオで作られているしなあ。どうなんでしょう。
やっぱり、いい音楽を作りたかったら、いい音楽を聞いてなきゃダメだよな、って思ってしまった年の瀬。