また出た「謎」シリーズ。(違うか)
Native Instruments の Kompleteバンドルに入っている表記のギター音源。単品でも売ってるが、ほとんどの人がバンドルで入っているから、ちょっと使ってみる、って感じではなかろうか(サンプル数:オレ1名)。
ひとことで言うと、キメキメのカッティングギター(ストラト)をフレーズ単位で作れる、なかなか便利なヤツである。便利ではあるが、少し扱いが厄介なので、やっぱりほとんどの人が「面倒くせえなぁ~」と思って、そのままそっ閉じで終わるのではないだろうか(w)。
デフォルトのカッティングパターンが「’70 Disco Party」だったりするので、そういう感じの曲に合う、そういうパターンが多く入っている音源だと思われている。ところがどっこい、違うのも沢山あって普通のPOPSにもちゃんと使える。
プリセットだけじゃなく、自分でも自由にパターン組めるからね。コードもこれでもか!って位たくさん入っていて、自由度が高い。その関係で操作が少しややこしい。
こいつが癖があると思うのは、例えばDisco Partyのプリセットをロードすると、デフォルトで一緒にサンプリングのコード一式までロードされちゃう。これが結構重いから、SSDならともかくHDDだと待たされて、極めてうっとうしい。切り替える度にこれだから、皆「こりゃ使えないわ」と思って、放り出すんじゃないだろうか。
実は、パターンとコードセットは別々にロードできるからね。ちょっとタブをクリックするだけです。こうするだけでパターンを切り替えながらのブラウズが極めて楽になる。放り出した方は、一度試してみてください。
たぶんScarbeeは、Disco Partyならどうせこんなコード使うだろ?そしてお前らはパターン聞きながら曲書くんだろ?……と思ってこんな仕様にしたんではなかろうか。自分のような曲の書き方だと、極めて余計なお世話である。w 全部コード入れ直しだから。
これを避けるTIPSも持っているが、まあ詳しい使い方は Youtube で 親切なSLEEP FREAKSさんの解説ビデオでも見て下さい(笑)。
(なに?教えろって? コード選択画面でA/B/CってあるボタンのBとかを押すだけですわこれで真っ新な鍵盤にコードを割り当てていける)
例によって、ここまで前置きで、今回の本題はこれからです。
下の画面を見て下さい。これがFunk Guitaristのコード選択画面です。
ほんと、よくこれだけ集めたな、ってくらい様々ポジションとボイシングのコードが並んでますね。これはDbメジャー(トライアド)を選んだところ。
しかし……よーく見て下さい。右の選択画面でなんか足りないコードがありませんか?
そう…作曲勢の方はもうわかりましたね。
「Augment(オーギュメント)」がない!(ドドーン)
…おい、嘘だろ(笑)。先月これに気付いて(遅いわ)、ほんとパソコンのディスプレイを穴があくほど凝視したわ。見落としじゃないかと10分くらい。いやー驚いた。念のため、コラ画像じゃないからね!
オーギュメント、日本語だと増三和音というやつです。増毛とはたぶん関係ありません。増えるのは5thの音の高さ。
例を挙げれば、ド・ミ・ソのソの音を半音上げてソ#にします。ド・ミ・ソ#です。かなり不安定な、不安感のある響きのコードです。クラシック方面では不協和音といわれます。
ところがこれ、現代のポップスではよく使うコードなんですね。例えば「ゆず」の曲なんかにもちょくちょく出てきます。
いかんよね、ゆずみたいな曲書きたい時に困るじゃん、これじゃ。
なんとか回避策はないかと、最初は考えました。作曲の世界には代理コードという考え方があって、様々な理由から本来のコードと同じような響きを持つコードを使うことがあります。一番簡単な例はハ長調における、Cの代わりにEmとかAmとか。構成音が共通してますからね。違う調から持ってくることもあります(だんだんオシャレ度が増しますが、使い方にセンスがいるようになってくる)。
しかし!オーギュメントの代理はオーギュメントしかない(ババーン)。
特殊コード故の特殊事情。
なんとかギター独自のボイシングで逃げられないかと思ったんですが、無理でした。そんなことを考えないといけない時点でギター音源失格です。
おいおい、まいったな。
なんでオーギュ(略)がない?
そこで、Scarbeeのサイトでサポート宛に英語で質問を投げてみました。
「ワタシ、ニホンジン。ふぁんくぎたニAugガナイ。リユウオシエロ」
嘘です、ちゃんと書きました。送った直後に、「おれたちはKomplete方面のサポートはしないぜ。それはNIに聞けや」って注意書きを見つけました。
仕方ないなあ。今度はNIに同じ質問を投げてみました。なんと、ドイツNI社は日本法人があって、日本語で質問できるんです。Komplete売れまくっているからな。
質問したら次の日に回答来たよ。
・当該製品にAugはありません。
・将来、サポートされる予定もありません
・コードごとにサンプリングしている製品なので、自分でAugを作ることもできません
とのこと。嗚呼、やっぱり。こっちの見落としじゃないんだ。バグでもない…
OMG、万事休す。
なんでかなあ。Augはギターだと響きが悪いってこと?(しかも変な押さえ方になりがち) しかしオクターブやパワーコードまでサポートしておいてこれはおかしい。
なんとなく、だけど、単に「忘れてた」んじゃないだろうか(w)。向こうのブラザーやアニキは、クールに見えて肝心のところで頭がファンキーだったりするからなあ(汗)。たぶん数限りなく指摘が行っていると思うけど、最初に聞いたときは、”Dove face under beans attack”、つまり「鳩が豆鉄砲を食らった顔」をしたと思うね。
Funk Guitaristって意外と使えるよ、って意図で書きだした記事なのに、なんだか致命的な欠陥を指摘する結果になってしまった(笑)。
あ、自分は、曲にAugが出てきたときは、とりあえず前回は主音をオクターブで弾くことで逃げました。CaugならCのオクターブ指定。もうコードじゃないんだけど、幸いというか他のパートが盛り上がっていると、ほぼわかりません。ある意味リズム主体の音源なので。コード感がいきなり薄くなるのは隠しようがないがw
次はせめて主音と5th#の音くらいは、もうひとつ楽器をロードして鳴らすべきだな。これでもギターのボイシング的にはもう無茶苦茶です。
あとは和音の構成音さえ弄れるメロダイン上位版(魔法の音程修正ソフト)を使って強制的に書き換えるしかないわ。あれも音質は良くないらしいが…。
Funk Guitaristって検索しても日本語のブログとかほとんど見つからないからね。ほんとユーザーがいないんだろうな。
ただ今回、英語で検索してみたら、以下のNIのフォーラムが見つかった。
https://www.native-instruments.com/forum/threads/scarbee-funk-guitarist-has-no-augmented-chords.322730/
ここでやっぱり、なんでこの製品はaugがないんだ、って質問した人いて、んだんだ困ったもんだ、的展開になってる。海外でもみんな参ってるみたいだ。
で、やっぱり解決策は、上に書いたような感じで締められています。
ねえSCARBEEさんよ、忘れたんだろ? YOU、白状しちゃいなよ。
Kompleteに入るような海外の有名音源でも、意外と穴がある!という話でした。まあほんとのとこ、これ位ならまだマシで、この前見つけた別の音源のやつは目が飛び出るほど酷かった。これはまたいつか。