最近ボヤッと思っているのは、1970年代の雰囲気って、実は今と似てないかってこと。
もう半世紀前なのが信じられないが(w)、当時って終末論ブームがあったんですよ。核戦争だったり、食料危機やエネルギー危機だったり、疫病・公害・オカルトetc。世界が何らかの原因で破滅するんじゃないかって盛んに言われていた。あの重苦しい不安な感じが、今とかなり似ている気がする。少なくとも70年代に子供時代を過ごした自分はそう思える。
核戦争については米ソが実際核ミサイルを突きつけあっていたし、石油危機が本当にあったし、オカルトではノストラダムス予言本がベストセラーになったりした。幽霊や超能力を扱ったTV番組も盛んに放映されていた。
時代としては終戦からがむしゃらに復興した60年代が終り、少し日本も生活に余裕が出てきた頃ですね。高度成長期真っ只中、バブル前の「古い日本」が残っていた時代です。そして思い出した、インフレまで今とドンピシャ同じ。
それでもまだ、「終末」はやってくるかも……という漠然とした不安感に留まっていたのが70年代でした。現代は、上に書いた多くのことが現実になってますね。地球温暖化も、昔は科学本なんかに盛んに載ってましたよ。
70年代の「不安」が現実になっているのが2020年代といえるでしょう。なんせ未来は今よりもっと悪くなる……こんなのがコンセンサスの時代ですから。
ここまでがいわば「大きな物語」です。では楽曲を書くという「小さな物語」の中では、僕らはどのように「今」の時代に向き合っていくべきでしょうか。
いきなり抽象的になったけど……これは正直、「わからない」としか言いようがない、実は。色々と手探りで曲を作ってリリースしてるけど、それで答えが見つかるわけじゃない。
ただ、書き続けていると確かにわかってくることがあって、制作技術的な面は別にしても、「ああ、こうやると時代に合った曲が出来るんだな」というのは少し見えてくる。それはもう、ぶっちゃけ優秀な若い人を連れてきて歌わせる、ってのもありますが、書き手の姿勢としてもどこか「大きな物語」を意識していたほうが良いと思えます。どこがどう、とは中々言えないんだけど、時代と呼応するような部分があった方が良い曲になるんでしょう。
例えばYOASOBIの「夜に駆ける」も「アイドル」も実は暗い内容の曲ですね。それを癖のない爽やかな女性ボーカルに歌わせたのが非常に面白いといえる。そんなところはやはり大きな物語の中にあるわけです。
とまあ、とりとめもなく書いてみました。最後にひとつ、今の制作環境や制作体制が、あとで考えたら時代を象徴するような要素になっているかもよ? ちょうど70年代の制作環境が、今ではもう再現できないように。
(追記:コンピュータ(AI)の叛乱、国民総背番号制度、監視社会って予想もあり、全部当たっている…)