YOASOBIの「夜に駆ける」を久々に聞いて気付いたが、これってイントロのド頭のボーカル処理で、ブレスを取ってないんですね(ミックスの話ね)。まず息を吸い込む音から始まってる。2発目もそうだった。
ミックス的には、あまり大きいブレスは取ってしまうことが多い。ということは、意識して残してある訳ですが、これがないとあるとでは印象が大きく違うはず。狙いは当たったのでしょうね。
全般的なボーカル処理でいうと、コンプでペタペタにダイナミクスを潰してある、それはもう見事に。変な例えだが食パン一斤がハムみたいな薄さなった感じ。現代的といえばそうだし、スマホのようなプアなリスニング環境ではこの方が歌は聞き取りやすいが、やっぱり音楽的には好ましくない、と思う。
(特にボーカルが非常に歌唱力あるので、勿体ない…) このあたりも、プロデュース的な観点から考えて、それが正しいということになったんだと思いますが。
一般リスナーの声を色んなところで見てて、特にこの曲のようなボーカルの感じが「歌が上手い」と言っている人が結構いて、それは驚いた。それは絶対違うからね、これはまあ「加工」ですよ。映像でいえばCGみたいなもんです、もう。実写映像とCGを混同してはいかんでしょう。
それで、ライブでYOASOBIがこの曲や(同じボーカル処理をしている)他の曲を演奏すると、ボーカルが非常な技量でブレスもガン無視のメロディラインを歌っているのに、「歌が下手」って言ってるんだよね(w)。
スマホ向けに音圧を爆上げした曲ばかり聞いている結果だと思うけど、こういう認識の一般リスナーが増えたら、それはヤバイと思う。大げさに言えば音楽文化が崩壊していくきっかけになる。加工と生を混同してるわけだから。
(オートチューンを掛けたボーカルを聞いて、この人は歌が上手い、って言っている若手芸人もいたな……。もしやケロケロ声で歌ったらウケるかも?)