数日前夕方にTV付けたらNHKで流れていた番組、これってピアノや楽器類が映っているしヤマハじゃないか、と思ったらやっぱりそうだった(w)。NHK攻めてるなあ、まあこれに出られる企業は現在は絶好調なわけですからね。(今回2回目で、第一弾がバンダイだったらしい)
“総合楽器メーカー”の黒歴史から、今を生き抜くヒントを探る!
神田伯山のこれがわが社の黒歴史
11月23日(火・祝)[総合]後6:05
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=31753
以下内容ウロ覚えなのでご容赦。
電子楽器=エレクトーン(TM)の発売後、海外製半導体の品質の悪さに何度も泣かされてきたそう。そこでいっそ内製してしまえと、ヤマハの半導体事業が始まった。半導体技術の第一人者である西澤潤一教授に教えを乞い立ち上げ成功。電子楽器も高度化し、’80年代にはFM音源搭載のデジタルシンセサイザーDX7などのヒットで絶好調。(当ブログ読者なら皆さんご存知、もちろんヤマハ製のカスタムLSIが使われていた)
このFM音源チップはパソコンにも採用され、特にWindows95旋風からのマイクロソフトとの協業で売れに売れた。楽器も右肩上がりだったが、それを遥かに上回る利益をもたらした。
ここまで良かった。この時点で半導体事業をヤマハの主軸に据えようとしていたそう(既に少子化で楽器事業は頭打ちだった)。
そこへ今度はインテルが、自社のパソコンにチップを組み込みたいと言ってきた。そこで800億円掛けて浜松に最新鋭半導体工場を建設したが……。稼動直前になって、インテルが「もう要らん」と。ソフトの高度化でチップがなくても高品質な音が出せるようになったから。
さあ大変、他のメーカーを当たるも価格面で折り合いが付かず、半導体を供給していたセガなどのゲーム機に掛けたが、プレステとの競争に敗れてこれも駄目。結局工場で何も作るものがないまま、1年後に工場ごと売却。特別損失250億円、リストラ500人というヤマハ最大の危機を招いてしまう……。(インテル詐欺ってる! Intel Insane)
当時は地獄だったそうですが、ここからどうやって立ち直ったかというと、それは意外な製品がきっかけでした。それは……携帯電話、ガラゲー全盛時代が始まろうとしていたのです。もう皆さんお分かりでしょうが、着メロの需要にFM音源チップがずばり応えられたのです。ある時期のガラゲーは全てFM音源チップ入りといっても過言ではありません。これでV字回復を遂げるのですが、さらに着メロそのものにもヤマハのビジネスが生かせたのですね。これだけで1000億円規模の商売だったらしい。
この大事件を教訓に、ヤマハはチップの研究設計だけを行い、製造は他社に任せる、いわゆる「ファブレス企業」の走りになりました。また半導体事業は、今はネット回線用ルーター事業に活かされているとか。選択と集中は社是らしいですからね。
ヤマハの社長がSGギターで「ギュウーン」なんてクランチ系サウンドでコード鳴らしながら登場したり(現社長は楽器プレイヤー)、なかなか楽しい番組でした。たぶん収録場所はヤマハの楽器ショールームだったと思う(笑)。