2020/05/05

ムード歌謡とシティポップの関係

 名曲「中央フリーウェイ」の先日書いた話で、ひとつ書き忘れていた。それは昭和の時代にあったいわゆるムード歌謡について、今はご存知のように消滅してしまったのですが。
 もしかしたらそれは、シティポップの方に発展・吸収されていったという部分もあるんじゃないかと。もちろん全部ではないが、ムード歌謡の一部分はシティポップに進化していったのではないか、という仮説を立てています。
 というのは、ムード歌謡は本当に泥臭いものもある反面、めったやたらにお洒落で、ありていに言えば「日本にローカライズされた洋楽」という体裁のものもたくさんあったのですね。アレンジャーがいい意味で遊びまくっていて、音楽的に非常に面白いアレンジになっていたりする。今聞いてもカッコイイ感じなんですわ、もちろん当時はストリングスもブラスも生だしね(レコード会社の自社スタジオにプレイヤー常駐のところもあった)。まあいい面ばかりでなくてピッチが悪い弦とかも時々いるが(w)。

 ググってみると、ムード歌謡の衰退は、夜の街から酒場やキャバレー等が消えていった時期と重なっている、やはりムード歌謡はそういう場所で一番歌われていたから、などと書いてある。だからこれもバブル期くらいに、日本の社会が変質していったことと関係がある可能性が高い。ムード歌謡も最後期はサンプリング楽器(ハード)が入るわシンセが入るわ、という曲もあって、古くからの酒場も新しい風が入っていたのかもしれないけど、結局ジャンルとしては消えていくんですね。
 この時期はもうお洒落な部分はシティポップに、泥臭い部分は演歌に分裂していったのかもしれません。その演歌も森進一さんが大滝詠一さん作の曲を歌ったりと、むしろAORみたいな動きもあったりした。

 ムード歌謡の、気取らない飾らない、文字通り人の心に寄り添うような歌、人の心のダメなところネガティブなところを慰めてくれるような歌の世界、こういうのはジャンルと共に消えてしまったわけで、復活してもいいんじゃないかと自分は思うんですけどね。今のJ-POPではカバーしていない世界だし。ほんと、大人の世界よムード歌謡は。まあR30、30歳未満はお断りみたいな世界だな。今の時代ならむしろR40が近いかもしれない。
 大人のリスナーを音楽の世界に呼び戻せば、業界は絶対に復活すると思うんです。それには大人の耳が肥えたリスナーを満足させるような楽曲が無論必要。そんな曲を書いてみたい、と日々つらつらと考えているわけです。

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