先日、とあるアーティストさんのキャンペーン・ライブ中の写真を見せて貰ったのですが、なんというか、アーティストの皆さんはやっぱりライブをしている時、一番良い顔をしてらっしゃいますね。正直、格好いいのです。
シンガーさんなら歌っている時、ピアニストならピアノを弾いている時、それは一番似合っているし、これが音楽の面白く得なところだと思うけど、自然と一挙一動がキマってしまいます。改めて思うがこの格好良さは本当に不思議。結局そこで「表現」が生まれているから、そうなるんでしょうね。
音楽には形がない、目には見えないから、抽象度が高く、それが故に素晴らしい音を「そこ」で作り出す人は、とてもクールに見えるわけです。
こうしてみると、作曲家はとても地味な裏方だなあと思う(まあ好きでやってるのですが)。果たして作曲している時、自分はどんな顔をしているだろうか。
たぶん各段階で違うと思うんだけど、純粋にメロディを作っているときは、モチーフの部分は大抵別録りで関係ないとして、Aメロああでもないこうでもない……とやっている時は、首を捻ったり、詰まれば苦悶(?)。何度もプレイバックしたり、結構ノッポさんの「でっきるかな」感覚。
コード進行を考えている時は、コードの機能や理論を横に見つつも、もっと感覚的。理論的には正しくても、メロと合わせるとトンデモなくダサい進行ってあるので。結局気持ちいいか気持ち良くないか。非機能的な進行がハマった時はよっしゃあ!って感じ。
アレンジしているときは、一番空想というイメージを働かせているかもしれない。このパートはこの楽器でこんな動きにしようとか、パートごとの流れを見つつ、やっぱり完成形を脳内イメージしつつ作業。いいアレンジを思いつくと、結構ニコニコしている気がする。人に見せるならここだな(笑)。
ここまでは世間一般の作曲で、結構脳内のイメージや音感を総動員している感じですが、ミックス作業となると全然頭を使う場所が違ってくる。クリエイティブというのとはちと違う。エンジニアリングといわれる通り、工学であり純粋な作業に近い(もちろん創造性を発揮できる箇所もあるが)。
まあ、なんといっても、まず人に見せられない顔をしているのは、DAWが落ちた時(笑)。絶対マヌケな顔をしてるはず。「あっ」「ひょっ」「うわ落ちよった」「うそーん」などと、2回に1回くらいは裏返った声出てますしね。そりゃそうだよ、下手すると1時間近い作業が全部飛んでしまうんだから。それでも最近はこまめにセーブするんで、大抵最大10分位で助かっている。
といっても、自分の使っているDAWがなかなか頑強で作曲中は滅多に落ちないのですが、ミックス中は逆に落ちやすい。重いプラグインを多数のトラックに差しまくるからね。曲をバウンス(オーディオ書き出し)して最後の最後でスッとDAWが落ちた日にゃ、そりゃ声も出るぜ。
どうですか、作曲勢の皆さんなら覚えがあるでしょう(笑)。僕はあたしは知りません、などとは言わせませんよ。
DAWが落ちても、いつも静かに笑っていられるような境地になって初めて(そう、まさに「雨ニモ負ケズ」のように)、一流の作曲家といえるだろう。いや本当かこれ。